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理事長

日本性感染症学会 理事長 荒川創一

性行為または類似の行為により伝播する「性感染症」という言葉の歴史は意外と新しく、1990年前後までは「性病」という呼称が広く用いられていました。性病は法律上、梅毒、淋病、軟性下疳、性病性リンパ肉芽腫の4疾患と定義されていましたが、このうち後2者は日本では稀にしか見られなくなっており、1999年に「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」が施行され、その中で性感染症として6種疾患が盛り込まれました。すべて5類感染症に位置づけられ、後天性免疫不全症候群(エイズ)と梅毒の2疾患は全数報告、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の4疾患は定点報告の対象となり、今日に至っています。

日本性感染症学会は1988年に性感染症に対する総合的な学術団体として発足しました。2014年4月からは一般社団法人となり、医師を中心とした専門家集団として、さらに学術・研究活動を推進しております。
 性感染症は実際には上述しました6種感染症を筆頭に、性行為およびそれに類する行為により伝播する感染症20種類前後を指します。
 性感染症を全般的に紐解くには、このホームページの中に「性感染症 診断治療ガイドライン 2016」が盛り込まれていますので、是非、御覧ください。

2011年以降、日本で梅毒が増えています。ペニシリンが特効薬であり、20世紀後半にはもはや「幽霊病」と言われるほど減少していたのですが、ここ数年は、毎年1.5~2倍という速度で増加がみられ、男性のみならず、若い女性にも認められています。梅毒は、妊婦が罹患すると胎児に感染し、先天梅毒という重大な事態を引き起こします。妊婦健診の重要性が再認識されるべきです。他方、HPV感染(子宮頸がんと関係します)も多く見られます。性器クラミジア感染は、わが国で年間新たに約45万人が感染していることが分かっていますが、多くが症状のないままに、中には不妊症の原因となることもあります。高名な先生が「性感染症は環境感染あるいは生活習慣感染です」と言われているように、性感染症全体は国民病の一つといっても過言ではないのです。淋菌に効く抗生物質が減ってきているのも、世界的な問題となっています。

国民の皆さんは「性感染症」から目を背けるのではなく、自分たち一人ひとりの問題としてその理解を深めてください。心配なら検査を受けてください。
 日本性感染症学会は、認定医(診断・治療を担当)制度、認定士(中高生などへの予防啓発を担当)制度を設け、それら専門家の氏名をホームページに掲載しています。必要に応じて、ご相談等をいただければと考えております。(なお、認定取得者の紹介や連絡先をお伝えすることは本学会では行っておりません。)
 日本性感染症学会は、性感染症への正しい知識と対応を普及させること、学術的研究が推進されることを使命として、活動してまいります。
 ご理解とご協力をお願い申し上げます。

 
(2017年9月)
 
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