日本性感染症学会
第29回学術大会

会長挨拶

 学会員の皆様、このたび第29回日本性感染症学会学術会議の開催のお世話をさせて頂きます岸本寿男と申します。大会長として一言ご挨拶申し上げます。本学術会議の岡山県での開催は、私の大学での恩師故松本 明先生が、第9回大会を倉敷市で20年前に開催されて以来となります。再び岡山の地で本大会を開催させて頂けますことを、大変光栄に存じますとともに、身の引き締まる思いが致します。
 我が国の性感染症の現状は、主な疾患であるクラミジアや淋菌は、一時のピークから減少傾向が続いていたものの、最近ではやや増加に転じる傾向がみられていますし、依然としてHIV・エイズの新規患者は増え続けています。さらに淋菌の薬剤耐性の問題や、HPVワクチンの課題などに加えて、この数年の梅毒の増加、特に若年女性での急増が大きな問題として注目されています。この現状からは、検査や治療はもとより教育や予防啓発のより効果的な方法の検討など、新たな取り込みが求められていると感じております。そこで今回の大会テーマを「性感染症に立ち向かう新たな風になろう」と致しました。教育講演やシンポジウムについては、最近の課題について企画しておりますが、学術会議の成否は一般演題にかかっております。ぜひ多くの演題をご提出頂けますと幸いです。
 また近年のグローバル化によって、国や地域を越えた予防、治療等への対応も重要となってきております。その中、今回の学術会議に先立ち、歴史ある国際学会でありますInternational Union against Sexually Transmitted Infections(IUSTI)の19th Asia-Pacific Conferenceを、12月1日から3日まで日本で初めて開催し、私が大会長を務めさせていただくこととなりました。せっかくの機会ですので、同じ会場を使用し、12月3日の性感染症学会初日を第29回日本性感染症学会学術会議との共同開催とさせて頂きました。アジア各国の医療状況、習慣、社会状況などは様々ですが、国や地域を越えて性感染症の臨床、疫学、社会医療学等の研究テーマの討議、情報交換が出来ますことは、非常に有意義なことと考えております。濱砂良一理事に大会事務局長をお願いして、充実したプログラムにすべく準備を進めているところですが、本学会員の皆様に国際学会もあわせて参加をして頂きやすいように、参加費等種々便宜を図っていく所存です。大会が有意義で、実りあるものとなりますよう皆様のご協力と、多数のご参加をお願いし、大会長のご挨拶と致します。では晴れの国、岡山でお会い致しましょう。

日本性感染症学会第29回学術大会
会長 岸本 寿男
(岡山県環境保健センター所長)